作品について

◆ 作家ジャン・ラシーヌ

 ジャン・ラシーヌ(1639~1699)は、イギリスのシェイクスピアと肩を並べる、フランス古典劇の代表的作家です。当時のフランス演劇界は悲喜劇のコルネイユや喜劇のモリエールが相前後して数々の傑作を発表し、ヨーロッパ演劇の中心地となっていました。ラシーヌは悲劇作家で、彼が多くの作品で追求し続けたテーマは恋愛、片思いの連鎖ともいうべき悲劇的な恋愛です。
 

 ◆ 三一致の法

 フランス古典演劇には「三一致の法」といわれる演劇理論があります。つまり、戯曲は“時”と“場所”と“筋”が一致しているべきで、24時間以内に、同一場所で、一つの筋で展開する芝居こそが、人々の興味や関心を引き付ける、とするものです。ラシーヌは、この演劇理論を極限まで推し進めて完成させた詩劇人と言われています。

◆ アンドロマック

 ラシーヌの代表作である『アンドロマック』の初演は1667年。350年以上も前に書かれたフランス劇ですが、登場人物の生き生きとした描写、心理の駆け引き、ドラマチックな筋立てなど、いつの世にも通じる“現代性”を持ち、古臭さは全くありません。本作で繰り広げられるのは、宿命を背負った4人の男女の片思いが生み出す愛の不条理です。

◆ 朗誦術と『アンドロマック』の上演

 この恋愛悲劇を綴りなすラシーヌの原文は、12音節の韻文で描かれています。それを格調高い日本語に翻訳した宮島春彦氏の『アンドロマック』の精髄を伝えるためには、台詞の一言一句に至るまで余さず表現する完璧な台詞術が要求されます。
演出家浅利慶太が初めて本作の演出を手掛けたのは1966年の日生劇場プロデュース公演。その後、劇団四季においては2002年、2004年とたった二度しか上演がなされていません。この作品に挑む俳優たちは四季メソッドともいうべき朗誦術を駆使し、作家の書いた台詞を正確に表現することを求められます。
 『アンドロマック』を上演するということは、芸術的意味合いが高いと浅利は言います。つまり、本当の“芝居”というものをお客様にお見せすること、そして、こだわり続けてきた朗誦術を継承していくことだと考えています。
 プロデュース公演として、19年ぶりにお届けする『アンドロマック』。朗誦術によって展開する格調高く優雅な言葉のドラマをどうぞお楽しみください。

 
ストーリー

◆ 幕が開く前に

 トロイの王子パリスは、スパルタ王メネラスの妃で、絶世の美女として名高いエレーヌに横恋慕し、彼女をトロイへ連れ去った。
 これをギリシャ全土の恥と考えたメネラスの兄でギリシャ軍の総大将アガメムノンは、彼女を取り戻すため、大軍を率いてトロイを包囲する。有名なトロイ戦争の始まりである。
 ギリシャ軍には伝説の勇者アキレスとその息子ピリュス、そしてユリシーズなど、名だたる英雄たちが加わっていた。一方、迎え撃ったトロイ軍も、パリスの兄エクトールを中心に善戦するが、ギリシャ軍が巡らせた“トロイの木馬”の謀にかかり、ついには攻略されてしまう。
 エクトールはアキレスに討たれ、その妃アンドロマックと遺児アクティアナクスは、敵将ピリュスの虜として、エピールに送られることになった。メネラスはピリュスの働きを讃え、娘のエルミオーヌを婚約者として彼に与える。

◆ あらすじ

 トロイ戦争にギリシャ軍として参戦したエピール国王ピリュスは、その武勲を讃えられ、スパルタ王より王女エルミオーヌを婚約者として与えられる。ところが、彼は捕虜として連れ帰った敵方の妃アンドロマックに心を奪われ、ギリシャ軍の意向に背き、その息子アスティアナクスともども宮殿内に匿っている。そこへ、ピリュスに対して広がるギリシャの不信と不満を収拾すべく、今は亡きギリシャの総大将アガメムノンの息子オレストがピリュスのもとを訪れる。表向きは、トロイ王家の血を引く遺児アスティアナクスを生贄として差し出させるのが訪問の理由だが、オレストの心中は熱愛する従妹のエルミオーヌのことでいっぱいだ。
 
 
 ピリュスはアンドロマックを愛するあまり、エルミオーヌとの婚礼を延ばし延ばしにしているが、当のアンドロマックは、亡夫エクトールへの貞節を守り、彼の求愛を拒み続けている。

 一方エルミオーヌは、ピリュスに裏切られた怒りと嫉妬のあまり、彼とアンドロマックの仲を引き裂こうと謀る。そして、自分に思いを寄せるオレストを利用して恐ろしい復讐の企てに引き込んでいく。
 自分の意に添わないアンドロマックに業を煮やしたピリュスは、遺児をギリシャに生贄として差し出し、エルミオーヌを妻にすると言い出す。
 
 

 アンドロマックは愛息の命乞いにエルミオーヌのもとへやって来るが、彼女が憎いアンドロマックの言葉に耳を貸すはずもない。絶望したアンドロマックに残されたのは、ピリュスの慈悲にすがることだけ。未練たっぷりのピリュスは、自分の妻になってくれるならエルミオーヌとの婚約を破棄し、アスティアナクスの命を助けようと申し出る。
 愛息を守るために決断を迫られるアンドロマック。裏切りの憎悪に炎をたぎらせるエルミオーヌ。国運を賭けて愛を選択するピリュス。思いがけない展開に混乱るオレスト。
運命の歯車が回り、愛と復讐劇に意外な結末が訪れる……。

 

◆ 主要登場人物

 ギリシャ軍によって滅ぼされたトロイの勇将エクトールの妃。アキレスに無残な殺され方をした夫への貞節を守るか、仇の息子ピリュスの求愛を受け入れて、遺児アスティアナクスの命を守るか、辛い選択を迫られる。
 伝説の英雄アキレスの息子でエピールの王。父と共に参戦したトロイ戦争で輝かしい武勲を立てる。高潔で、ギリシャ軍からの信頼も厚かったが、敵方の捕虜アンドロマックを愛してしまい、容易ならざる立場に立たされる。
 今は亡きギリシャの総大将アガメムノンの息子で、ギリシャ軍の勇士。従姉妹のエルミオーヌを熱愛している。
 気位の高いスパルタの王女。父王メネラスが決めた婚約者ピリュスを激しく愛しているが、その裏切りにあい、従兄オレストを復讐に巻き込む。
 
 
人物相関図
diagram hermione andromaque oreste pyrrhus
 
スタッフ
作:ジャン・ラシーヌ
 
翻 訳:宮島 春彦
 
演出:浅利 慶太
 
装 置: 金森 馨
照 明: 吉井澄雄
コスチュームデザイナー: ルリ・落合
音 楽: 松村禎三
美術監督: 土屋茂昭
 
キャスト
アンドロマック
ピリュス
エルミオーヌ
オレスト
ピラド
クレオーヌ
セフィーズ
フェニックス
オレストの部下

野村 玲子
近藤 真行
坂本 里咲
桑島 ダンテ
劉 毅
田野 聖子
服部 幸子 
斎藤 譲
折井 洋人
与那嶺 圭太
関 廣貴
池田 泰基

※出演者は都合により、変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。
 
公演について

◆ チケット情報 

 
「四季の会」会員先行予約
84日(土)午前10時〜
 
一般発売
8月 5日(日)午前10時〜
 
料金
5,000円(税込)
「四季の会」会員・一般共通、全席指定
 


 

前売りチケット 

 

  劇団四季

SHIKI ONLINE TICKET  http://489444.com
劇団四季予約センター  0120-489444 (10:00〜18:00)
劇団四季の各専用劇場(自由劇場を除く)
 

  チケットぴあ

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チケットぴあ各店舗
セブン - イレブン/サークルK・サンクス店頭
 

 ローソンチケット

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0570-000-407 (オペレーター対応10:00〜20:00)
0570-084-003 (Lコード: 34017)
ローソン/ミニストップ店頭 
 

 e+ (イープラス)

http://eplus.jp/ (PC・携帯)
ファミリーマート店頭
 
 


 

当日券

 
公演当日、開演60分前より自由劇場受付にて販売いたします。
当日券は現金のみのお取り扱いになります。
 


 

注意事項

 
● 日程及び開演時間は急遽変更となる場合がございます。予めご了承ください。
● 2歳以下のお子様はご入場いただくことが出来ません。3歳以上のお子さまは、お席をお求めください。
● 本公演は「四季の会」会員としてチケットぴあで購入することはできません。
● 劇団四季スマートチケットは対応しておりません。

 
 
劇場アクセス

 
お問い合わせ
 

チケットに関するお問合わせ
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公演に関するお問い合わせ
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